ここ数年、イングリッシュ・スパークリングワインの評価がメキメキと上がっています。
シャンパンを製造する大手メゾンも、イギリス南部のブドウ畑を購入してスパークリングワインを造り始めているのだとか。それも、納得。最近のイギリスワインは、シャンパーニュ地方に比べコストをグッと抑えながら、フランスの伝統的なものにも引けを取らない質なんです!
イギリスでも長い間ワインが造られてきましたが、その出来は今ひとつでした。だれも質を期待してこなかったのも事実。
ところが、ここ20年ほどで温暖化の影響を大きく受け、ブドウがよく育つようになってきたのです。当然、ワインの質も飛躍的に向上していて、今では、世界でも有数のレストランがイングリッシュ・スパークリングワインをメニューに載せているほど。20年前には、誰も想像できなかったことです。
ボルニー・ワイン・エステイト訪問
VINUMでは、先日イギリス南東部にある「ボルニー・ワイン・エステイト」を訪れ、上質なイギリスワインを試しながら、今後のイギリスワインの行方について話を聞く機会がありました。
2018年は、イギリスの当たり年。例年になく暖かい日が多く、太陽にも恵まれました。ボルニーの担当者いわく、収穫したブドウのすべてが規定の成熟度を満たし醸造に使われるのは、今年が初とのこと。この年のイギリスワインが売り出されたら、ぜひ手にとってみてください。
イングリッシュ・スパークリングワイン
さて、まずはイングリッシュ・スパークリングワイン。その質が認められて、世界でも知名度が上がっています。このボルニーのものも秀逸でした! シャンパンと同じブドウ品種【ピノ・ノワール(Pinot Noir)】、【シャルドネ(Chardonnay)】、【ピノ・ムニエ(Pinot Meunier)】に、ちょっとめずらしい【セイヴァル・ブラン(Seyval Blanc)】もブレンドされています。
その味わいは、本格的。伝統的なフランスのものと同じくブリオッシュやトーストを思わせる香りをたっぷり持ちながらも、青りんごや柑橘系フルーツのしっかりしたさわやかさで見事にバランスが取られています。もちろんスッとした酸味もあり、料理とも好相性。
イングリッシュ・スパークリングワインについては、こちらの記事でも少し触れています。
赤ワインと白ワイン
驚いたのが、赤ワインと白ワイン。イギリスのワインは、まだまだ発展途上であることは間違いないのですが、温暖化のおかげでイギリス産デイリーワインの質が高まり、注目が集まり始めているんです。イギリスで栽培されているブドウ品種は、【ピノ・ノワール(Pinot Noir)】と【シャルドネ(Chardonnay)】を除くと、寒さや雨に強いドイツ由来のあまり聞いたことの無いものが多かったりします。
ボルニーでも、【ドルンフェルダー(Dornfelder)】や【ロンド(Rondo)】、【バッカス/バフース(Bacchus)】を栽培しているのですが、20年前なら不可能だった【ピノ・グリ(Pinot Gris)】もよく育つようになっているのだとか。これも、温暖化によるものです。このブドウ種のおかげで、ワインは柑橘系フルーツやスパイス感のある深みを持つようになり、また、ほのかなはちみつの味わいを楽しめるようになっています。VINUMで試した2017年モノはやや酸味が強めでしたが、2018年産ならもっとフルーツ感をたっぷり楽しめるはずです。
ボルニーは、ここで造る【ピノ・ノワール(Pinot Noir)】の質でも知られています。エレガントでありながら、とてもさわやか。まさに、寒冷気候の代表的なピノと言えます。
期待の高まるイギリスワインたち。ボルニー・ワイン・エステイトを訪れて、ぜひいろいろ試してみてください!