先日ロンドンにて開催された、イギリス大手ワイン販売会社エノトリア(Enotria)による展示会。そこで、ずば抜けた才能を誇るベレニス・リュルトンさんと話をする幸運にめぐりあいました。
ベレニスさんは、ボルドー地方バルサック地区にある甘口ワインで名高いシャトー・クリマン(Château Climens)のオーナー兼ワイン生産者。このポジションについたのは1992年、なんと、22歳の若さでした。以来、このシャトーは、ソーテルヌ地区とバルサック地区を代表する造り手とも呼ばれるほどに。その高い品質はバルサック一番と言われ、ソーテルヌ地区のシャトー・ディケムに次ぐ実力を持つと考えられています。
シャトー・クリマンのワイン畑は、独特のテロワールを持つ小さな高台に集まっています。ベレニスさん曰く、その固有のテロワールゆえに特別なワインができるのだとか。ソーテルヌ地区の他のシャトーと異なり、セミヨンのみを栽培しているところも特徴的です。テロワールの影響を受け、このブドウ畑で育つセミヨンはとても爽やか。他のシャトーのように、さっぱりした味わいを求めてソーヴィニヨン・ブランをブレンドする必要が無いのだそうです。
・・・なーんて控えめに語るベレニスさんでしたが、細部や品質にこだわり続ける彼女の努力の賜物というのが本当のところなんだと思います。
シャトー・クリマンのワインは、もちろん長期熟成にも適していますが、若くして飲んでもとても美味しいです。バルサック地区ならではの爽やかさだけでなく、非常に複雑な味わいを楽しむことが出来ます。
今回の発見は、なんと言ってもセカンドワインである【シプレ・ド・クリマン(Cypres de Climens)】! シャトー・クリマンでは、セカンドワインもグラン・ヴァン(ファーストワイン)と分けることなく、全く同じ手法で厳しい管理下のもと造られます。醸造過程で、熟成せずとも若くして美味しい樽のものが単にセカンドワインとなるのです。その出来上がりは、秀逸の一言。
ベレニスさんによれば、【シプレ・ド・クリマン(Cypres de Climens)】にはパフュームのようなアロマを持たせたいのだそう。飲んでみると、まさにその通り! グラスからは、グレープフルーツのほのかな香りとともにフローラルなアロマが飛び込んできました。それでいて、バルサック地区の爽やかさが極上の甘さを軽くしてくれるのです。
ワインの上質さを考慮すると、値段はとてもお手頃。スパイスで味付けしたシーフードや鴨肉との『マリアージュ』が特にオススメですが、食前酒として楽しむのも良いですね。開栓したあとも冷蔵庫で保管すれば、2週間ほど品質が保たれることはベレニスさんお墨付きなので、ぜひ試してみてください。