『マリアージュ』2つ目のヒントは、料理とワインのもつ風味の組み合わせについて考えてみること。つまり、全く異なる風味を合わせるのがおもしろいのか、または似た味わいを持ってくる方が良いのか・・・。いろいろ試してみたいところです。
ヒント2: 料理とワイン、対比させるか同調させるか
♦ヒント1についての記事は、こちらから。
『対比のマリアージュ』について
まずは、『対比のマリーアジュ』。
ここでのポイントは、料理とワインを一括りと考えて、風味のバランスを作り上げること。要は、お互い足りないものを補い合う発想です。
例えば、酸味のすごく強いワインと揚げ物の組み合わせは、この『対比のマリアージュ』の分かりやすい一例で、ワインの酸味が料理の油っこさを中和してくれるのです。
スッキリ爽やかで、酸味の強い【シャブリ(Chablis)】のようなスタイルのワインなら、天ぷらにもぴったり。ワインが、レモンをギュッと絞るような効果をもたらしてくれます。以前紹介した「オーストリア白【グリューナー・ヴェルトリーナー(Gruner Veltliner)】×トンカツがおいしいワケ」の記事でも、この『対比のマリアージュ』が実現しています。
他にも、シカ肉または鴨などのシンプルなローストに、『ニューワールド』の【ピノ・ノワール(Pinot Noir)】やフルーツ感たっぷりの【シラー(Syrah)】などの赤ワインを合わせるのもそうですね。よくジビエや鴨には、その味をうまく引き立てるフルーツコンポートやジャムのようなソースを合わせますが、ワインからこの効果を得ることもできるというわけです。
また、料理で合う風味の組み合わせを考えた上で、それをワインと置き換えるのもひとつの手です。
例えば、ココナツとライム。おいしい鉄板の組み合わせですよね。ココナツの香りが広がるカレーに、ライムの風味で名高いオーストラリア産【クレア・ヴァレー・リースリング(Clare Valley Riesling)】なら、バッチリ合うこと間違いなしです。
『同調のマリアージュ』について
もうひとつは、『同調のマリアージュ』。
簡単に言ってしまえば、料理の主となる風味を見つけ出し、似た味わいをもつワインを合わせるということ。
似た者同士の組み合わせで、『対比のマリアージュ』とは逆の考え方ですね。これによって、料理のメインとなる味わいを倍増し、おいしさも二倍!というわけです。
この方法に従うと、クリーミーなソースでいただく魚や鶏肉には、オーク樽で熟成されたタイプの【シャルドネ(Chardonnay)】、【シュナン・ブラン(Chenin Blanc)】または【ローヌ(Rhone)の白】などフルボディでクリーミーな味わいの白ワインが良さそう。
また、胡椒のきいたステーキには、ピリッとした【シラー(Syrah)】を。ゆず胡椒を使っているなら、ホワイトペッパーやハーブなどの香りをもつ【グリューナー・ヴェルトリーナー(Gruner Veltliner)】を試してみましょう。きのこを使った料理には、【ピノ・ノワール(Pinot Noir)】または【ネッビオーロ(Nebbiolo)】はどうでしょうか。独特な土臭さのただよう味わいが、きっときのこに合うはずです。
応用編
ところで、『対比のマリアージュ』と『同調のマリアージュ』、どちらか選ばないといけないと思っていませんか?
ときには、ひとつの料理に対して、両方の考え方を活用することもできるんです。
オススメは、【シャンパン(Champagne)】とフィッシュ&チップスというワクワクする組み合わせ。シャンパンの強い酸味がレモンの役目を果たし、揚げ物の油っこさを中和する『対比』の関係を見せる一方で、リッチなブリオッシュを思わせるシャンパン独特の香りが、衣とみごとに『同調』します。
これ、本当においしい『マリアージュ』なので、ぜひぜひお試しください。
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