今年の夏は、イギリスもめずらしく暑い日続き。
こんな日には、ちょっと冷蔵庫で冷やした赤ワイン、いかがでしょうか? そう、赤ワインだって、冷たくするという選択肢があるんです!
今回は、おいしく飲むための「ワインの温度」の話をまとめてみました。
赤ワインも白ワインも、そのスタイルによって、最適な温度が異なります。もちろん、ワインの好き嫌いと同じで、個人の好みにも大きく影響されることは否定できないのですが・・・。少なくとも、わたしたちの暮らすイギリスでは、ぬるすぎる赤ワインや冷たすぎる白ワインがサーブされ、とても残念なことが結構あったりするのです。
(日本では、そんなことないですか・・・?)
赤ワインと温度
1. 複雑な味わいをもつ上質ワイン → 常温で楽しむ!
樽で熟成されたワインや長期間寝かされていたものを含め、複雑な味わいをもつ質の高いワインは、一般的にざっくり常温で飲むのが良しとされています。
ただし、この「常温」。ワインの世界では、15〜18度を意味することに注意! この温度だと、フルーツや樽で熟成されたことによる香りを含む、ワインの味わいを最大限に楽しむことができるそう。温度が低すぎるとオーク樽の香りを楽しめず、高すぎるとフルーツを感じることが難しくなります。家の中は20度を超える場所も多く、うっかり適当なところに置いたワインをそのまま飲むと、風味を楽しみ損ねてしまうというわけです。
可能であれば、家の中でもワインセラーを思わせる涼しいところを探してみましょう。ワインを買ったら、10〜12度くらいのところに置いておいて、飲む1時間くらい前に(デカンタする場合はもう少し前でも大丈夫)、キッチンに持ってくると、飲む頃には丁度ぴったり「常温」になっていますよ。
2. ライト〜ミディアムボディの樽熟成されていないワイン → 少し冷やしてみる!
こういった軽めの赤ワイン、ぜひ飲む1時間くらい前に冷蔵庫に入れてみてください。樽熟成されていない赤ワインの風味は、フルーツ感と強い酸味がメイン。冷やすことによって、ソフトな味わいになるからです。このあたり、ちょっと白ワインと似ていますね。
特に、この飲み方をオススメするのは以下。
・【ボジョレー(Beaujolais)】
・寒冷気候で造られた若めの【ピノ・ノワール(Pinot Noir) 】
・ロワール地方の【カベルネ・フラン(Cabernet Franc)】
・【バルドリーノ(Bardolino)】
・【ツヴァイゲルト(Zweigelt)】
・【ソウソン(Souson)】
・軽めの【グルナッシュ(Grenache)】
とは言っても、シンプルな赤ワインであれば種類を問わず、20分くらい冷やすと力強いフルーツ感を楽しむことができて、グッとおいしくなるもの。覚えておいて損はありません。
白ワインと温度
1. 樽熟成されていないスッキリした若いワイン → 冷やしすぎてはダメ!
ここで、よくあるミスは、この手のワインを冷蔵庫から取り出してすぐ飲むこと。4〜5度の冷蔵庫にずっと入っていたとすると、ワインはキンキンに冷えすぎです。お安く出回っている【ピノ・グリージョ(Pinot Grigio)】なら、もともとそんなに風味もないので影響が少ないかもしれませんが、一般的にはワインのもつフルーツ感を失ってしまうと言われています。
できれば、ワインを飲む20分前には冷蔵庫から取り出しておくか、もしくは、飲む直前の2〜3時間だけ冷やしておくかにすると、もっとたくさんワインの香りと味わいを楽しむことができますよ。
2. 樽熟成または貯蔵されたワイン → 少し冷やすのがコツ!
ワインの特徴は、樽での熟成期間や長期保管されることに由来する複雑な味わい。思い切り冷やしてしまうと、こういった複雑さを楽しむことが難しくなります。典型的な例としては、リッチな味わいの【ブルゴーニュ(Burgundies)】の白、またはフルボディ【シャルドネ(Chardonnays)】あたり。先述した軽めの赤ワインと同じように、飲む1時間くらい前に冷蔵庫に入れるのがオススメ。
もしもミディアムボディの白ワインなら、もう30分長めに冷やしてみてください。
スパークリングワインの場合
【シャンパン(Champagne)】、【クレマン(Crémant)】、【プロセッコ(Prosecco)】などのスパークリングワイン。他のワインと比べてもっとしっかり、6〜9度まで冷やします。
というのも、スパークリングワインは、しっかり冷えていない状態だと、炭酸ガスがあっという間に気泡となってシュワシュワしすぎて、キリリとした感じを楽しめなくなってしまうからです。飲む4時間前に冷蔵庫に入れると良いと言われています。しまった、冷やすの忘れてた! なんてときは、氷いっぱいの中に1時間つけておくのでも、大丈夫ですよ。
デザートワインの場合
甘いデザートワインは、冷蔵庫でしっかりじっくり4時間以上冷やします。
こうすることでワインの甘さとキリリとした酸味のバランスを取らないと、甘すぎてはっきりしない味わいになってしまいます。酸味は冷やすことによって強調され、ワインに深みが出るというわけです。また、この種のワインの甘みとともにある風味はとても濃厚で、こんなにしっかり冷やしても褪せることはないのです。
さて、ワインの種類によって異なる最適温度、いろいろと奥が深いですね。温度に関する豆知識を活用して、よりおいしく楽しく飲めますように。