ボルドー(Bordeaux)地方といえば、赤ワイン!
そんなイメージ、ありますよね。この地域が、世界中で愛される赤ワイン【カベルネ・ソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon)】や【メルロー(Merlot)】の故郷であることを考えれば、ごく当然です。ところが。実は、ボルドーでも、格別においしい辛口白ワイン(さらにはロゼやスパークリングまで)も生産していること、知っていましたか?
もちろん、ボルドーの白ワインには、涙がでそうになるお値段の、世界でも名高い高級ワインもあるのですが。それだけではなく、高品質なのにお財布にやさしい、複雑でエレガントなとても個性的な白ワインもあるんです。なかには、しばらく寝かしておけるようなクオリティのものまで。
そして、さすがフランスものというだけあって、どれもお料理と一緒にいただくことで、おいしさが全開になるのです!
ボルドー 白ワインのブドウ品種について
この地方の赤ワイン同様、白ワインもいくつかのブドウを混ぜて作られます。具体的には、主な品種【ソーヴィニヨン・ブラン(Sauvignon Blanc)】と【セミヨン(Semillon)】に加え、【ミュスカデル(Muscadelle)】や【ソーヴィニヨン・グリ(Sauvignon Gris)】が使われています。
ボルドーの【ソーヴィニヨン・ブラン(Sauvignon Blanc)】は、やさしい草の香りと柑橘、とくにレモンの皮やグレープフルーツを思わせる果実感を持ち、スッキリとさわかな味わいです。いとこにあたるロワール(Loire)地方のものとははっきりと異なり、また、鮮烈な香りのするニュージランド産のものとは、同じ品種であることを忘れてしまうほどの違いが。
一方、もうひとつの主なブドウ品種【セミヨン(Semillon)】は、ワインに厚みとまろやかな果実味を加えます。ワイン生産者によっては、【セミヨン(Semillon)】を樽のなかでわざわざ短期熟成させ、ワインにさらなる芳醇さやリッチな味わいを与えているそうです。
ボルドー地方の『アペラシオン(Appellation)』の決まりごとによれば、白ワインは、前述のブドウ品種を使えば、ボルドー内のどのエリアで生産されてもよいとのこと。
とは言っても、やっぱり白ワインの品質で名高いエリアもあるので、少し紹介したいと思います。
♦︎『アペラシオン(Appellation)』については、以下の記事で少し紹介しているので、ご参考に。
ボルドー 白ワインのスタイルとVINUM的オススメ
上の地図で緑色の、アントル・ドゥー・メール(Entre-Deux-Mers)地方は、白ワインのみを生産する『アペラシオン(Appellation)』に指定されています。ただ、生産量が多いゆえに、その品質にも正直なところバラツキが。でも、ワイン生産者をしっかり選べば、高品質でかなりお手頃なワインに出会えるんです。
ちなみに、VINUMのお気に入りは、シャトー・テューレイ(Chateau Thieuley)、シャトー・オー・リアン(Chateau Haut Rian)やシャトー・デ・ザラ(Chateau des Arras)あたり。良かったらぜひ探してみてください。
アントル・ドゥー・メール地方の白ワインは、フルーティで花の香りを思わせながらも、とてもフレッシュな味わい。スッキリした酸味のおかげで、どんなシーフードにもぴったりです。特に、ライムを搾ったり、たっぷりのガーリックや白ワインバターソースでいただくものなら、もう間違いありません。夏なら、網で焼いたカキとの組み合わせや、グリーンピースなどを使ったリゾットとのマリアージュもたまらないですね!
他にも辛口白ワインで有名なところといえば、ボルドーの左岸下側に位置するグラーブ(Graves)とペサック・レオニャン(Pessac-Leognan)は外せません。
特にペサック・レオニャン産のものは、オーク樽での発酵や熟成により、はちみつやレモンペースト、オレンジの皮の香りを思わせる、複雑で芳醇なワインになっています。ここのワインは、値段も品質も超がつくほどハイレベルで、正直なかなか手が出せません。。。
でも、グラーブ産のものなら。先述のアントル・ドゥー・メールのものよりももう少し深みや複雑さがありながら、ペサック・レオニャン産のようにびっくりする値段ではないのです。
例えば、シャトー・オー・セルヴェ(Chateau Haut Selve)のものなど、もし出会うことがあれば、ぜひぜひ手にとってみてください。濃厚な味わいのロブスターやラングスティーヌ(ヨーロッパアカザエビ)とピッタリ合うだけでなく、子牛や鶏肉ともみごとにマリアージュすること請け合いです。
今回、辛口白ワインの有名どころを紹介しましたが、革新的なボルドー地方ゆえ、探せばもっと意外なエリアから、自分だけのお気に入りの生産者が見つかるはずです。
実は、先日ボルドーにお邪魔する機会があったのですが、ほぼ赤ワインの生産地と呼べるコート・ド・ブール(Cotes de Bourg)にあるシャトー・ド・ルスレ(Chateau de Rousselet)産の秀逸な白ワインに出会いましたよ。【ソーヴィニヨン・ブラン(Sauvignon Blanc)】と【ソーヴィニヨン・グリ(Sauvignon Gris)】を半々で使い、樽の中で発酵、熟成されていて、マグロのカルパッチョと組み合わせがとても見事でした!