『自然派ワイン(ナチュラル・ワイン)』って、一体なんでしょう?
好き嫌いはありつつも、気になる話題のワイン。実は、ビシッと決められた定義があるわけではないんです。
自然派ワイン(ナチュラル・ワイン)とは
一般的には、添加物を避け、大昔から伝わる自然な農法で造られたワインを指します。つまり、シンプルに「発酵されたブドウの果汁」という、ワインの最も原始的な姿。なるほど、ちょっと興味深いですよね。
近年のワイン生産者は、醸造にも多数のテクノロジーを導入しています。培養させた酵母によって発酵レベルを安定させたり、亜硫酸を使って酸化を防止したり、ワインの濁りを取るべくフィルターを使ったり。いろいろな技術を使いこなしているわけです。
これに対して、自然派ワインの造り手たちは、対応レベルの違いはあるものの、そういったテクノロジーをできる限り避けています。なので、ナチュラル・ワインは、天然酵母を使っていること、亜硫酸の使用をゼロに近づけていること、フィルターをなるべく使用しないこと、、、あたりが特徴と言えますね。
ちなみに、ナチュラル・ワインの素になるブドウは、必ずではないものの、有機またはバイオダイナミック農法で育てられていることが多いです。
<ちょこっと補足>有機とバイオダイナミックの違いって?
・有機(オーガニック):農薬や化学肥料などを一切使わない方法。有機と表示するには、認定機関の検査・認証を受ける必要あり。
・バイオダイナミック:オーストリアの研究者、ルドルフ・シュタイナー博士が提唱する方法。有機農法に加え、月や星座の運行を考慮したりスピリチュアルな要素を取り入れている。ただし、検査や認証などはなし。
飲む前に知っておきたいこと
なんだか、ポジティブな響きしかない自然派なワイン。すべてのワイナリーが目指すところかと言うと、実はそうでもありません。理由はざっくり2つ。
その1. 一定の品質を保つのが難しい
すべてを自然に委ねるということは、造り手のコントロールできる部分が減るということ。近年ワイン造りに取り入れられきたテクノロジーは、そもそも、醸造する年やタイミングによってワインの品質に差が出ないようにするためのもの。ナチュラル・ワインの場合は、当然ながらバラツキが出てしまいます。
その2. 個性豊かな風味
2つ目の理由は、ズバリ味わい。自然派ワインには、ボトルをあけると、土臭い農場を思わせるような香りがするものが多く、こういったワインに慣れていない人は、ウッと思うこと請け合いです。(わたしもウッとなりました・・・。)ただし、この香り、わりとすぐに和らぐので、ご安心を。
ナチュラル・ワインの楽しみ方
それでも、やっぱり試してみたい! という方。ぜひ、他のワインでは体験できない純粋な風味を楽しんでください。
まず一番に感じるのは、ワインは(当たり前なんですが)ブドウからできているのだということ。強いフルーツの味わいを感じることができるんです。また、ナチュラル・ワインは、テロワールと呼ばれるその土地の個性や、ブドウの収穫年による違いなどを強く反映するため、それを楽しむのもひとつ。
さらに、規模の小さなワイナリーで、職人さんによって環境に配慮した方法で造られることが多いというのも、ポイント高いですよね。
VINUMでは、チリ・マウレ(Maule)のワイン生産者ウアッソ・デ・サウサル(Huaso de Sauzal)による、【カリニェナ(Carinena)】の古木に実るブドウから造られた自然派ワインを試してみました。
ナチュラル・ワインの人気が出たのは、わりと最近ですが、ここのワイン職人レナン・カンシーノ(Renan Cancino)氏は、何代にもわたって同じ方法で醸造してきたそう。【パイス(Pais)】というブドウ品種を使った同じ造り手のワインも、やっぱり何百年と育った木から造っているのだとか。
さて、気になる【カリニェナ(Carinena)】の味わいは・・・。目が覚めるようなベリーの風味が、土臭さに支えられて、酸味によって見事なバランスを取っていました。まさに、ナチュラル・ワインの特徴とも言える、フレッシュな果汁の味わいを楽しむことのできるワインとして、一押しです。(しかも、強い土臭さを覚悟していたのですが、そんなに気になりませんでしたよ!)